漢方薬・中国医学の専門店:健康相談薬局さかいや

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■中国医学で考える「がん」
9.むすび:少しでもお役に立てたらさいわいです
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 私の手もとに『臨床検査』(医学書院)という専門雑誌があります。その二〇〇三年四月号に「漢方薬(補剤)は癌の悪性化進展および転移を抑制するか?」という斉木育夫(富山医科薬科大学和漢薬研究所病態生化学部門・教授)の論文が掲載されています。少しその中から引用してみたいと思います。

●(論文の冒頭) 高齢化社会の進行とともに医学的、社会的難題として認識されつつある多くの疾患の一つに、癌が含まれる。わが国では、癌による死亡数が増え続け、今や国民の3人に1人以上が癌で亡くなっている。特に肺癌、大腸癌や乳癌による死亡数は増加の一途をたどり、また、多くの場合遠隔組織への転移が直接的あるいは間接的にその死因にかかわっている。化学療法をはじめとする癌に対する近代医学の進歩にもかかわらず、依然として再発・転移による死亡を阻止することが難しく、克服すべき大きな課題となっている。さらに、合成医薬品のもたらす劇的な治療効果に対して、その重篤な副作用(免疫抑制あるいは毒性など)が逆に
疾患の完治あるいは根絶を困難にしている。
 QOL(Quality of Life:生活の質あるいは生活の輝き)の概念の確立とともに、生体と癌が首尾よく共存・共生しようとする考え方もある一方で、これに対応すべく癌治療への新たな方法論や方向性を導入する動きがある。こうした現状のなかで、漢方薬などの伝統薬物、いわゆる天然薬物への社会的関心や期待から、これらを用いた基礎的および応用研究が活発に行われつつある。
 臨床における漢方方剤は、術後の全身状態の改善あるいは放射線照射・化学療法による副作用の軽減などを目的に使用されている。最近では、癌治療の免疫応答修飾剤(biological response modifier=BRM)の一つとして漢方方剤が注目され、数多くの報告がなされている。なかでも、十全大補湯、補中益気湯あるいは人参養栄揚を含む補剤は、免疫賦活作用を有し抗腫瘍・抗転移効果を発揮する漢方方剤として知られている。
●(論文の末尾) ヒト腎細胞癌に対してインターフェロン治療が行われているにもかかわらず、奏功率が低いため、より有効な治療法の開発が望まれている。マウス腎細胞癌の肺転移モデルを用いて、十全大補湯とインターフェロン‐αの併用効果を検討した結果、明らかに各単独投与群と比較して有意な肺への転移抑制効果の増強とインターフェロン‐αによる副作用の軽減が認められた。
 漢方薬は経口摂取が長期間可能であり、副作用がほとんどみられることなく、生体内調節機構を巧みに利用しながら恒常性の維持さらに病態の改善に有効な治療薬であると思われ、BRMとしての役割がさらに注目されるものと考えられる。今後、基礎・臨床の両面での研究の発展が大いに期待される。

 【当店よりの注釈】現代の進んだ西洋医学をもってしても、癌に対する治療法はまだ試行錯誤の段階です。抗がん剤をはじめとする癌に対する西洋医学療法をもってしても再発・転移による死亡を阻止し得ない状況です。このような現状に対して、漢方薬が放射線照射・抗ガン剤化学療法による副作用軽減の目的で使用されています。それを免疫応答修飾剤(biological response modifier=BRM)と呼びます。
 結論としまして、インターフェロン‐αと十全大補湯の併用により、西洋医学単独の場合より、転移抑制効果の増強を認めたということです。即ち漢方薬の併用によって、西洋医学単独の場合よりも、延命効果があるということです。
 この論文に接して、当店といたしまして感無量なのは、当店では今から三十年以上前、当地の病院で放射線療法を受けて、体力低下して血液状態も悪くなっていた患者さんに十全大補湯を用いたところ、非常に好転したことがあります。当時この事実を知り合いの医師に話して、十全大補湯を併用することを薦めましたが漢方薬の効果など迷信の如く一笑に付されたそうです。その後、武見医師会長の功績で、漢方薬が医療に採用されて以来、このような扱いを受けることはまずなくなったそうです。
 漢方薬やサプリメントを、中国医学の方法論で正しく適切に使いましたら、10年か20年後には全ての医師からも、漢方薬は免疫応答を良くして、化学療法や放射線療法の副作用を軽減し、延命効果を高めるもの、と公認されることでしょう。当店では今も、昔も(先代も)、このように信じてきたのです。
 私たちの一生涯は、いわば「地球旅行」に来ているようなものだと思っています。私共の学んだことが少しでも、お役に立ち、地球旅行中の苦痛が少しでも減ったり、1日でも長く気楽な地球旅行につながったり、願わくば、「癌にかかったが」「思わぬ長い地球旅行を楽しんだ」と言っていただけることを願っています。


1.はじめに
2.「情報系」の混乱としての癌
3.情報系の調和を取り戻すには?
4.放射線療法・化学療法が癌に効く理由とは
5.癌における中国医学の役割
6.癌治療、いわば”国家総戦力”と似ている
7.癌戦場の主力部隊と援軍
8.「羅針盤」の無い航海とは
9.むすび:少しでもお役に立てたらさいわいです

 

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